2013年7月11日木曜日

Hoe Va'a Voyaging 川奈イルカ浜まで

前回からの続き・・・



《川奈イルカ浜まで》

まずは、最初の目的地、東伊豆の川奈、イルカ浜を目指した。 



大きな周期の台風のうねりを胎で感じながら、大浜を出て30分もしないうちに、僕ら6人とKupunaは相模湾を東から西に流れる沿岸流にのることができた。

川奈のイルカ浜までの第一クルーは、Tomo, Dai, Seiya, Hosio, Kenny, Duke だった。
葉山に住むオハナ達で早朝に強い男達を揃えた。

その沿岸流に乗りながら、最短(直線)で東伊豆を目指さずに江ノ島の沖を通り、相模湾をなめるように、どちらかと言うと最初2時間ほどは小田原の南を目指すような感じで岸沿いに進路をとった。
クルーの皆が感じるほどの強い追い潮にのり、僕らのVa'a Kupunaは海面をすべり続けた。
漕ぎのピッチは55から60くらい、思った以上に早く心地よいリズムを刻みながら2時間もしないうちに大礒港の沖に到達していた。

あまりにも視界良好で、すべての山並みも街も見えすぎて、逆に目測を誤りはしたが、僕たちは沿岸潮にのりながら順調に漕ぎ続けた。 

クルー達は1時間毎に5分から10分の休憩を入れて、ただひたすら漕ぎ続けた。

皆無言で、海からエネルギーをもらいながら漕ぎ続けているようだった。

一番シートのTomoは、自分が先発のクルーに選ばれたことに驚きながらも、まじめに、そして精魂込めて、心地よいリズムで後ろの皆を引っ張って漕いでいる。
2番のDai は、Tomoをたびたび励ましながら、忠実にTomoのタイミングに正確に合わせてリズムを刻んでいる。
3番のSeiya はチェンジのコールを出すだけで、それ以外は終始無言で、いつもとは違う何かを海とKupunaから感じながらひたすら漕いでいた。

背中を照らしていた太陽が肩と首筋を照らし始めたころ、潮が逆になり始めた。
舟出して3時間過ぎたころだったかな、ちょうど真鶴半島にさしかかった辺りでうねりが大きくなり、追い潮だった潮が止まり、波長の大きなウネリとウネリの間に南西からの風波で海面が激しく動き出した。真鶴半島にぶつかった沿岸流と南西風がぶつかり始めていた。

視界が好過ぎるために、背後の陸地の緑に同化して見えにくかった初島がハッキリ確認できたのは、それから30分ほどしてからだろうか、初島の北側を通るか、南側を通るか迷いながら初島を目指していたところ、また一段と南西のウネリと南西風が強くなった、僕はそれまで開けて漕いでいた自分のスプラッシュカバーのジップを上までしっかり閉じて漕ぎ続けた。

真鶴半島までが相模湾、その南は相模灘、それをわざわざ示してくれるように、さすがに全く違う海だ。

盛り上がる台風のウネリがグン、グンと激しくアマを持ち上げる。同時に風がアマをパン、パンと突き上げる。 初島の西側(内側)を通る沿岸南下流を目指そうと、一度は北寄りに舵をとったが、アマ側からのウネリと風が気になったので、なるべく南西風に向かって進むように、初島の東側を通り、初島の南側に進路をとることにした。海水の色は、みるみるうちに澄んでいき、深い蒼色が鮮やかになっていった。  そして、伊豆大島の見える角度が、休憩をとる度に違ってくる、三原山がどんどん大きく観えてきた。
 
こんな海の状態でも、クルー達は落ち着き、疲れも見せず相変わらず心地いいリズムで漕ぎ続けていた。

Kupunaのエンジンになる3番シートのSeiya4番シートのHoshioは、もう漕ぎ始めて4時間以上経ったにも関わらず、うねりのリズムに合わせ、ギアーチェンジのように一段と力を込めて漕ぎ始めていた。5番シートのKennyはエンジンとしての役割を忠実にまもりながらもウネリをうまく読みながら、素早い対応で僕のステアーのサポートをしていた。

これよりも酷い海のコンディションで漕いだ経験があるクルー達は、無言のなかもお互い助け合いながら、チェンジの合図の声ごとにお互いの無事と元気を確かめ合っているようだった。

僕たち6人は風にかき消されないように、Hat ! Hoe ! という声を一段と大きく叫びながら、Kupunaにも、自分たちにも、元気を与えながら東伊豆の川奈イルカ浜を目指して漕ぎ続けた。

初島にぶつかった潮流と南西の向かい風が、僕らとKupunaの行く手をさえぎる。初島が確認できてから、なかなか陸地が近づかない。1時間毎に取っていた休憩も、漕ぎを止めるとKupunaが後ろに流されるので、あまりノンビリと休憩をとれない。風とウネリで大きく揺れ、不安定ななか素早く休憩をとり、すぐに漕ぎ出す。それを何度かくり返しながら、やっとの思いで初島の南の岸すれすれを、伊豆半島に近づくにつれて、風とウネリが少しずつ小さくなっていった。

初島が目視できるようになった頃から見えていた大室山の丸いお椀を伏せたような山の輪郭だけでなく、山の木々や建物が鮮明に見え始めていた。確実に東伊豆の岸が近づいていた。

川奈がわから望む初島


ひとり乗りのVa'a (カヌー)で川奈のずっと沖を漕いで通過しことは何度かあるが、一度も海から川奈にアクセスし上陸したことない僕は、出発前夜、金曜の夜にGoogle map で空中からの目線だけでおおよその場所と位置と雰囲気を確認していただけなので、海からの景色、それも海面1メートルからの景色で川奈の街を、それもイルカ浜がどこか判断するのは難しく、不安になりながらも、岸が近づくにつれ、風も海も穏やかになってきたので、スピードを取り戻したクルー達を不安がらせないように、『あそこだよ!川奈は!!もうすぐだよ! 頑張れ!』 と何度も叫び続けた。 


面白いもので、導き、道・・・は僕の予想や不安や希望を超えた高い次元で流れていたようで、
僕らのVa'a Kupuna は、川奈と思われる東伊豆の出っ張った半島のつけ根にあたる小さな湾に向けて、何かに引き寄せられるように、何かに応えるように、ズンズンと軽快に進むのを感じたのは僕だけではなかっただろう。

To be continue......





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